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夏の朝に朝顔

アサガオ イメージ その1日本の夏の朝のイメージは、ラジオ体操をする子供たちとその傍らに咲くアサガオだと個人的には思っているんですが、みなさんはどうですか?
アサガオは夏の庭に咲く日本人にとってポピュラーな花ですよね。
昔から園芸種として愛されてきたこともありますが、小学校低学年での観察記録の対象になっていたりすることも、その一因となっているような気もします。

近年では、花を愛でる以外の目的=緑のカーテンとして窓辺に育てられることも増えてきましたよね。

アサガオは中国原産のヒルガオ科サツマイモ属の一年性植物で、日本に持ち込まれたのは奈良時代の末期から平安時代のころで、遣唐使が薬として種を持ちかえったのが最初だと言われています。
アサガオの種の芽になる部分は漢名で「牽牛子(けんごし)」と呼ばれる下剤となる成分が多く含まれていて、奈良時代・平安時代には薬用植物として扱われていたようです。
粉末にして飲んでいたようですが、毒性も持っているので素人が種から薬を作って飲むことは止めて置きましょう。

夏の庭の定番なイメージのアサガオですが、開花時期は7月初頭から10月初頭の間とけっこう幅広く、夏限定というわけではないようで、俳句の世界でもアサガオは秋の季語として扱われています。
早朝に開花して陽が高くなるとシボんで、翌朝また花開くのはみなさんよくご存知でしょうが、正確には日没から約10時間後に開花するのだそうです。
今の時期なら日没が午後7時くらいなので、その10時間後の午前5時前後に開花することになります。

ちなみに「朝顔」という名称は朝に咲いているから名付けられたと思われるかもしれませんが、実はそうではないんだそうです。
そもそも「朝顔」というのは午前中に咲いて午後にはシボんでしまう花のことを“朝の美人”の顔に喩えた「朝の容花(かおばな)」の意味で、キキョウやムクゲなどの植物が「朝顔」と呼ばれていたそうです。
ところが、キキョウやムクゲが正午を過ぎても咲いているのに対して、当時は牽牛子と呼ばれていた今のアサガオが昼前にはシボんでしまうことから、より朝顔の名前がふさわしいということで、今のようになったと言われています。

アサガオは古くから園芸種として愛されてきたため、非常に種類が豊富で日本や中国以外の国でも育てられたり品種改良がされていますが、高い気温を好む植物ですのでイギリスなど緯度の高い欧米地域にはそれほど種類が多くないのですが、鮮紅色中輪の「スカーレット・オハラ」などが作られています。
※“西洋朝顔”と呼ばれているソライロアサガオやマルバアサガオ類は近種ではありますが別種となります。

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花・草・樹 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2013/07/26 23:53

笹と竹の違いは?

笹 イメージ今年も早い物で半分が過ぎて七月となりましたね。
そして七月といえば日本古来からの伝統行事“七夕”で、全国各地で多数の七夕イベントが行われますが、七夕には絶対欠かせない願いを書いた短冊を吊り下げる“笹”。

笹は日本古来からある日本土着の植物で、海外でも“sasa”と日本語名そのままで呼ばれています。

一方で笹によく似た植物の竹はほとんどが中国が原産です。

ところでアナタは“笹”と“竹”との違いはご存知ですか?
「そんなもん、見りゃあわかるだろ」と言われる方もいらっしゃると思いますが、笹と竹は同じイネ科タケ亜科の植物で、笹でも大きなものは竹と区別が付きにくく、名称に“竹”と付いているのに植物学上では笹だったりする品種もあります。
例えば竹なのに笹と呼ばれているものにオカメザサ、笹なのに竹と呼ばれているものにヤダケやメダケなどがあります。

それでは笹と竹の見分けるポイントはどこにあるんでしょうか?

一般的には茎が太くて高く真っすぐに育つものを竹と呼び、茎が細くて大きく成長もしないものを笹と呼んでいると思います。しかし植物学上での分類は育つ太さや高さ関係なく区別しています。

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花・草・樹 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2013/07/03 23:56

梅雨の花 紫陽花

アジサイ イメージ梅雨の季節といえば紫陽花(アジサイ)の花。
品種にもよりますが、紫陽花は咲いている間に次々に花の色が変わっていく特徴があります。そのためでしょうか、花言葉は“移り気”なんだそうですよ。

この花の色の変化ですが、酸性の土壌だと青くなってアルカリ性だと赤くなります。
日本の土は基本的に酸性なので、青い紫陽花の花が良く見られます。

紫陽花は日本が原産の花。日本から中国を経てヨーロッパなどへと広まったのですが、西洋で園芸用に品種改良されたものが日本に逆輸されたものを“西洋紫陽花”と呼んでいます。

日本全国各地に紫陽花の名所が有りますが、境内に紫陽花がたくさん植えられて観光名所となっている“紫陽花寺”がたくさんあります。
岡山県では美作市の“大聖寺”、津山市の“長法寺”、備前市の“大滝山西法院”などが有名で、この季節には“アジサイ祭り”が開かれ多くの人出で賑わいます。

紫陽花は日本国内に14種・海外に10種あり、大別して“ガアジサイ(アジサイ)”“ヤマアジサイ”“セイヨウアジサイ”“外国種のアジサイ”の四系統に分けられます。

ガクアジサイは紫陽花の一品種のように思われている方もおられるかもしれませんが、実は基本となった種がガクアジサイで、紫陽花とはガクアジサイの事を指します。
一般的に紫陽花と聞いてイメージする装飾花が手毬状に咲いているものは“テマリアジサイ”と呼ぶのが正しいんだそうです。知りませんでした(苦笑)。

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花・草・樹 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2013/06/25 23:31

アヤメってややこしい

アヤメ イメージアヤメはアヤメ科アヤメ属の多年草で、家庭の庭や公園の花壇などで五月から六月にかけて花を咲かせます。
アヤメ属の花は野生種から園芸種まで全世界で約200種のものがあるそうです。
アヤメの仲間は水辺を好むものも少なくないのですが、アヤメは野山の水辺とは無縁の乾いた土地に生えるので園芸用に向いていると言えますね。

花の色は紫で、花弁の元から網目模様が広がっているのが特徴で、外国産の花のような派手さは控えめで、少し地味な印象が如何にも“和の花”っぽく感じます。

それにしてもこの花はいろんな意味でヤヤコシイ花です。
『何れ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた)』というコトワザは、“優れたものどうしを比較してどちらか一方を選ぶのに迷ってしまう状況”に使われるコトワザですが、アヤメとカキツバタがパッと見ただけでは区別しにくいことから来ています。

また、花の名前もややこしいですよね。
アヤメは漢字では「文目」書くのですが、この「文目」の他に「綾目」や「菖蒲」とも書きます。っていうか、むしろ「菖蒲」と書くのが主流なようですね。

ところが「菖蒲」は“あやめ”と読む他に“しょうぶ”とも読むことはご存知ですよね。ショウブと呼んだならアヤメとは別の植物のことを指すことになってしまいますから混乱してしまいますよね(苦笑)。

実は、アヤメと言う名称はアヤメ科ではなくショウブ科の植物の「菖蒲(しょうぶ)」の古い名称で、現在のアヤメは当時は“ハナアヤメ“と呼ばれていたんだそうです。
話は更にややこしくなりますが、アヤメ科の「ハナショウブ」は、花が咲いていない状態だとショウブとよく似ているのでその名称が付けられたのだそうです。
そして「あやめ祭り」という名称の花まつりを行っているのに咲いているのはハナショウブだったりすることもあります(苦笑)。

おそらく昔の人達も花が良く似ているので思い違いをすることも少なくなかったことでしょうし、その結果このようなカオス状態になってしまったんでしょうねぇ。

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花・草・樹 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2013/05/22 23:47

花のシャンデリア:藤

野田藤 イメージ五月になれば陽当たりのいい雑木林でいくつもの薄紫色をした藤の花がぶら下がっているのを観られるようになります。

山に自生している “山藤(ヤマフジ)”または“野藤(ノフジ)”は、公園の藤棚などで多く育てられている藤=野田藤(ノダフジ)に比べて花の房=花序の長さが短く、ツルの撒き方も野田藤が右巻きなのに対して山藤は左巻きという違いがあります。

フジ属はマメ科の蔓植物で、大きく8種ほどに分けられるのですが、これらをまとめて藤と呼ぶのが一般的で、そのうち山藤と野田藤は日本固有の種とされています。

藤の木はその大きさからマメ科というのは意外に思われる方もおられるかもしれませんが、その種はマメ科の植物らしく鞘に覆われていてひとつの鞘に数粒の豆状の種ができます。
この種は花後に剪定をしたらならなくなるので、手入れが良くされている公園などの藤棚では見ることは滅多にないでしょう。

全国的に藤の花の名所はたくさんあり、岡山県では和気町の藤公園や玉野市の渋川海岸が有名ですね。
※藤公園は品種の数が日本一、渋川海岸は900mある藤棚の長さが日本一だそうです。

また、市町村の花に藤を選択している自治体も多く、岡山県では倉敷市が市の花に、和気町が町の花に指定しています。

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花・草・樹 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2013/05/08 23:57
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