稲刈りの季節

手刈りするしかなかった昔(昭和中期頃まで)は、稲刈りと言えば家族総出、親戚や近所の人にも手伝ってもらう大仕事。
ノコギリ鎌でザクザクと稲を刈り取って、ヒザで稲束をおさえて縄で束ね、木や竹で組まれた“馬”まで運んで干す。かなりの重労働でした。
“馬”は地方によって様々な呼び方があり、“稲架(はざ・はさ)”が主流のようですが、稲木(いなき・いなぎ・いのき)・稲機(いなばた)・稲掛け(いねかけ・いなかけ)・ハゼ・ハセ・ハデなどと呼ばれているようですね。
呼び名が地方によって様々なように、その干し方にもいろいろあります。
一段の馬が田んぼの中に並んでいるのが良くある風景なのですが、二段組みや三段組みだったり、一本の柱の周りにぐるっと稲が干してあってまるでミノムシみたいなものがあったりします。
伐採して加工された木材では無く、ハサ用に一定間隔に植えられている木(はさ木)に横棒を取り付けて“はさ掛け”をするところもあるようです。

稲刈り機は大きく分けて“バインダー”と“コンバイン”の2タイプがあるのですが、バインダーが刈り取った稲を自動結束していくのに対して、コンバインは刈り取ると同時に脱穀まで行い、脱穀された稲藁は粉砕されてコンバインの後方から吐き出されます。
コンバインで稲刈りをしている光景を見かけると、気温が高い日にでも帽子・手ぬぐいのマスク・長袖の服のいった完全防備姿の人を見かけることがあります。これは日焼け防止戸賀では無くて、コンバイン後方から吐き出された稲藁にまけるのを予防しているんですね。
藁にまけると痒くなったり、人によってはかぶれてしまうこともあります。稲刈りの手伝いをするときはコンバインの後ろには回らないように気を付けてください。
以前は田舎ならどこででも稲刈りの終わった田んぼにはさ掛けされた馬が並んでいたものですが、コンバインが主流になった近年はあまり見かけなくなりましたね。
天日で乾燥された稲束は脱穀がされた後、円形に積み上げて上部を円錐の屋根の形にした“わらぐろ”を作っていましたが、藁を利用する事が少なくなった現代では“わらぐろ”を見かけることも少なくなりました。
ちょっとさみしい気もしますが、これも時代の流れ。過疎化・高齢化が進む農家にとってわらぐろを作るのも大変な手間ですし、なにより藁を使わなくても便利な製品が手軽に購入できますからやむを得ないことなのでしょう。
中山間などのコンバインが進入出来ないところにある田んぼでは、結構大型なコンバインと比べて小型なバインダーが活躍しています。前述のとおりバインダーは刈り取った稲を結束するだけなので、脱穀するには別にハーベスターという脱穀機を使用しますので、今も“はさ掛け”や“わらぐろ”のある風景を観かけることもあります。
(バインダーで刈り取っても、藁を必要としない場合はわらぐろを作らないので、必ず観られるわけではありません。)
津山市近郊でも“はさ掛け”や“わらぐろ”を作っている農家がありますので、そのうち写真を撮ってこのブログでご紹介する予定です。興味がある方はのんびりとお待ちくださいね。
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