秋に咲く足元の“桜”

その意味はご存知だと想いますが、“タデのような苦いものを好んで食べる虫がいるように、人の好みは様々で他人には理解しがたいこともある”ということです。
ここで出てくるタデというのは「ヤナギタデ」のことで、刺身のツマや「タデ酢」など香辛料として人間も口にしています。
タデは英語名が「water pepper」ということからも分かるように、主に湿地を好んで生え、水辺や田んぼの畦や荒れた農地などによく見られます。
一般的にタデと言えば「ヤナギタデ」の事を指しますが、“オオベニタデ”“イヌタデ”“ミズヒキ”“タニソバ”“サナエタデ”“イタドリ”などなど、その仲間は多数あり日本国内で70種にものぼる品種が自生しているそうです。
このタデ科の植物に共通していることが、とても小さな花が集合して穂状や総状、または円錐花序を作ることです。一部を除いて大半が秋に花を咲かせるのですが、その中でも「サクラタデ」の花は薄い桜色をしていて、花の見た目も桜によく似ていて美しいですね。

タデ科の花はみんな小さいのですが、このサクラタデは比較的大きめで約4~5mmほどあります。
サクラタデは雌雄異株で、花びらより長い雄シベを持っているのが雄株です。
よく似たものに「シロバナサクラダテ」があります。「サクラダテ」の白花と間違われることもありますが、花序が密に並んでいて先端がたれているのがシロバナサクラタデです。
他にも「ヒメサクラタデ」や「ハナタデ」も桜に似た花を咲かせますが、かなり小ぶりでこちらは間違えることは無いでしょう。

道沿いにはあまり咲かないこともあり見逃しがちな小さな花です。のんびりと田舎道を散策中、休耕中で荒れてしまった農地では大きく育つススキやセイタカアワダチソウが目立つものですが、もしも背の高い雑草が少ないなら近寄って足元を見つめてみると可憐なサクラタデを見つけることが出来るかもしれませんよ。
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