田舎の家と南国の樹

結構背が高く、大きいものだと10mほどあるものも。幹をよく見ると細かい繊維状のものが巻きついているのを観ることが出来ます。
この樹は「棕櫚(シュロ)の樹」で、ヤシ科の植物です。
シュロの樹にも「唐棕櫚(トウジュロ)」「合い棕櫚(アイジュロ)」などがありますが、日本各地の田舎で観られるほとんどが「和棕櫚(ワジュロ)」です。
「和棕櫚」は主に九州南部に自生しているのですが、耐寒性が強いため東北地方でも栽培がされています。
なぜ田舎の家のそばに南国っぽい樹が植えられているんでしょうか?
その理由は幹にあります。

「シュロ毛」を煮沸して亜硫酸ガスで燻蒸し、天日干ししたものから繊維を採ることが出来ます。
このシュロ皮の繊維は伸縮性があり腐りにくい特徴が有り、様々な道具に利用されていたんです。
お気づきの方も多いと思いますが、庭ぼうきに使われる「シュロのホウキ」はこのシュロ毛の繊維で造られています。他にも縄や敷物、たわしなどに使われています。近年は化学製品におされぎみのシュロ製品ですが、今でもたわしやホウキはシュロ皮を使ったものがメインですね。
ワラにしてもそうですが、身の回りの様々な道具が時代の流れと共に加工が簡単で低価格で作られる化学製品にとって代わられています。その原料の石油には限りがありますし、その道具が古くなったり不要になった場合は“ゴミ”として回収してもらうしかありません。
しかし、昔から使われてきたシュロを使った製品やワラ製品は天然素材、しかも植物を使ったものなので、使えなくなったら畑などに捨てておけば、いずれは土に還ります。燃やして灰にして農地に撒くこともあります。
そして稲やシュロの樹を育て続ける限り、材料はある意味無限にあるとも言えますよね。
便利で安い道具もいいですが、ちょっと前までは普通に使っていたエコロジーな道具を見直してみてはいかがでしょうか。
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