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ススキと月見と古民家と

ススキと月見と古民家と秋を感じさせてくれる物は多数ありますが、野に自生する野生の草花達もそうですね。
野の草花と言えばコスモスや彼岸花などを連想されることでしょうが、白い穂を付けるススキも秋を感じさせてくれる草の代表と言えるでしょう。

ススキの一番の特徴である白い穂は種なのですが、ススキの花を観たことがある方はいるでしょうか?

ススキはイネ科の植物なので、稲と同じく穂先に非常に小さな黄色い花を咲かせます。もっとも花と言っても花びらは無く、小さな花びらのように見えるのは“葯(やく)”という雄しべが花粉を作るためのものです。
雄しべが出てからしばらく後に小さな白いのものが雄しべの近くに出てくるのですが、これがススキの雌しべです。
この雌しべに雄しべで造られた花粉が受粉することで、白い綿毛を持った種となり穂先を白くするんです。

ススキの種はこの白い綿毛で飛んで繁殖するのですが、上手く風に乗って飛んでいく種は少なく三割程度らしく、そんなんでは十分に繁殖できるのか?などと余計な心配もしてしまいますが大丈夫。ススキは種だけじゃなく、根を伸ばしての繁殖も出来るので問題ないんです。

ところでススキと言えば「お月見」を連想される方も多いでしょう。でも、なんでお月見の供え物にススキなんでしょう?

ススキの穂そもそも、お月見は秋の収穫を祝い感謝するための行事でした。

最近でこそお供え物はお団子とススキになっていますが、昔はイモをお供えしていたものです。
そういえば芋名月という言葉もありますよね。関西圏ではお団子の両端が尖ったものを備えることがあるそうで、これはイモをイメージしたお団子なのでしょうね。

稲作が行われるまではイモが主な農産物だったと考えられています。しかし稲作が主流になってからはお米の粉で作ったお団子を備えるように変わったと考えられています。

そして、ススキはイネ科の植物だと先ほども書きましたが、このイネ科の植物達を総称で「茅(かや)」と呼びます。茅の葉っぱは非常に鋭く手を切ってしまうこともあります。
その鋭い葉が“魔除けの力”があると考えられたそうで、日本と同じく稲作以前はイモが主流だった地域では“イモの魔除けにススキ”という文化があるそうで、稲作と同時にその文化も日本に伝来したのではないでしょうか。
つまりはお供え物のお団子を守るために、その脇に飾ってあるわけです。

ススキなどのイネ科の植物を茅と呼ぶと書きましたが、茅と言えば、近年は非常に少なくなった“茅葺の古民家”。

茅葺の屋根は通気性が良く、囲炉裏やかまどなどで室内で火を焚いても煙は茅を通り抜けて外に出ていきます。
しかし茅の表面は水をはじく性質があるのでどんな大雨でも雨漏りをすることはありません。
茅と茅との間に空気の層が出来ることで断熱性にも優れていて、更に茅の茎には芯があるため水を吸収しにくいといったメリットもあります。屋根の素材として軽量なのも古い家の屋根に使われてきた理由のひとつでしょう。

ただし、草なので傷みやすく定期的にメンテナンスが必要なことと、茅葺職人の減少、葺き替え作業にけっこうな費用が掛かってしまうことから、新築の家で茅葺屋根を取り入れることはほとんどなくなり、茅葺屋根だった家も軽量で傷みにくいトタンなどの金属カバーを茅葺屋根に被せるようになりました。

茅葺屋根の古民家はそのメリットも魅力的ですが、なによりその佇まいが観る人の心を引き付ける不思議な魅力がありますよね。今の時代に新しく茅葺屋根の家を建てるのは大変です。田舎暮らしを考えられる方々が古民家を求められるのもわかる気がします。

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花・草・樹 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2011/10/28 16:28
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