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ロボットでアイガモ農法

「アイガモ農法」ってご存知ですか?
元々は食肉用としてアヒルとマガモを交配してできたアイガモですが、害虫や雑草の駆除を目的にアイガモを水田に放ち、無農薬・低農薬な米作りをすると共に美味しいお肉も育てようという農法で、岡山県でも新庄村・真庭市・吉備中央町・総社市で主に行われています。

アイガモ農法のメリットには、
・除草(イネ科以外の雑草を食べてくれる)
・害虫の駆除(ウンカやタニシなどを食べてくれる)
・アイガモの糞が肥料になる
・水田でアイガモが運動して水をかき回すので水が濁り雑草が育ちにくくなる
・水をかき回すことにより、水田内に酸素が供給される
・稲の株元をくちばしでつつくので株張りがいい丈夫な稲が育つ

また、アイガモ農法をすることで次のような派生効果も生まれます
・アイガモ管理のために毎日水田に出掛けることで稲の生育状況をまめにチェック出来る
・アイガモのかわいらしさに心が癒され、農業の楽しさも増す
・子供達が農業に関心を示すようになる
などが考えられますね。

しかし、アイガモ農法にもデメリットが無いわけではありません。
・アイガモが成長すると稲を食べるようになるので雛の間だけしか利用できない
・柵などを作ってアイガモが逃げないようにする必要がある
・カラスや野生動物にアイガモが食べられないようにネットや電磁柵が必要
・苗がしっかりと根を張っていない間はアイガモの運動で苗が浮いてしまう
・アイガモが水田全体を動き回れるように水の管理が欠かせない
・雑草や害虫だけでは餌不足になるのでクズ米などの餌が必要
・育ったアイガモの出荷先が確保できていないと処分に困る
・アイガモに愛着がわいて殺処分が可哀そうになる

何事も完璧なものはそうそうありません。
以上のデメリットは耕作者がアイガモを放す・引き上げるタイミングを理解し、まめに世話をする手間暇を惜しまなければクリアできるものです。

しかし、生き物であるアイガモに変わって、アイガモ農法のメリットが得られる上にデメリットも解消できるロボットのニュースがありました。

IKOMAロボテック、ロボで「アイガモ農法」-14年度に製品化

 【岡山】IKOMAロボテック(岡山県津山市、生駒徹志社長、0868・28・7533)は、「水田用除草ロボット」を製品化する。無農薬栽培などで有効な栽培法であるアイガモ農法を自動化するのが狙い。2014年度中の完成を目指す。価格は30万円程度、コメの生産者向けに年間200台の販売を見込む。
 除草車輪により土を掘り起こし雑草を剥離、枯死させる。土壌を撹拌することでガスを抜き酸素を供給できるため稲の成長を促進する。搭載する接触式稲株センサーが稲に触れると回避し、稲から離れると元の位置に軌道を修正しながら走行する。あぜまで到達すると反転し次の稲列に進入する仕組み。
 食の安全・安心の志向で無農薬や減農薬栽培によるコメのニーズが高まっている。アイガモ農法は除草や害虫駆除の効果が安定しない、野犬など外敵からのアイガモ保護が課題で費用も膨らむ。

「日刊工業新聞」 IKOMAロボテック、ロボで「アイガモ農法」-14年度に製品化(201201/16)
見落としていましたが、昨年12月にもこのロボットが紹介されていました。こちらは動画付きですよ。
IKOMAロボテック、除草ロボ公開、ロボ利用の高付加価値米として販売も(2011/12/05)

この会社ではこのロボットを開発・販売するだけに留まらず、このロボットを使って育てられたお米を買い上げてブランド米として販売するプロジェクトも立ち上げています。これによりロボットを導入した農家は計算上で1.7年で減価償却ができ、ロボットは約6年間は使用可能なので4.3年間分はロボットを使用しない場合よりも収入が増えるのだそうです。
機械を造ることだけでは無く、農家の立場になってロボットを導入するメリットを考え、販売後のことにまで自ら動くということは素晴らしいことだと思います。これは身近に農業従事者=ユーザーがいる津山市の会社ならではの発想でしょうか。
もしかしたら近い将来、田んぼの中を小さなアイガモロボットが動き回る姿を普通に見られるようになるかもしれませんね?

「IKOMAロボテック」

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農業 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2012/01/16 19:16
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