池田藩の隠れ湯・小森温泉

「小森温泉」は岡山県加賀郡吉備中央町の山と山の間を通る国道429号線沿いにあります。
この国道429号線は一区間を除いてよく整備されている道路ですが、交通量は少なくとても快適に走ることができます。
この温泉の周辺は小さな集落が飛び飛びにある以外は、国道沿いに小さな商店があるのと少し離れてキャンプ場があるくらいで、地元の人でなければ温泉目的以外ではまず立ち止まらないような場所です。
この温泉の元湯は一羽の鷲がここで傷を癒していたのを見て発見されたと言われています。(美作市の鷺の伝承と似ていますね。)
享保17年(1732年)岡山藩主の池田継政が莫大な費用と延べ一万の人夫を注ぎ込んで湯屋を設営したそうで、当時は領内唯一の湯治場として賑わいをみせていたのだとか。
ところが、元湯に清水が混入する事態が発生し、温度が低くなってしまってからは寂れてしまったのだそうです。
現在ある元湯は戦後に新しく掘られたものです。
小森温泉には同名の「小森温泉」と「ラーバニスト小森の里」のふたつの温泉施設があります。
古くからあるのが「小森温泉」で昭和29年に開業、「ラーバニスト小森の里」は1944年に開業した新しい施設です。

「小森温泉」は、外観こそソコソコ小奇麗な温泉宿っぽいんですが、中に入ればたちまち昭和初期から中期ごろにタイムスリップ!“ひなびた温泉宿”という言葉が見事に当てはまります。でもすごくノスタルジー溢れる空間となっており、今時のコジャレた建物にはない独特の魅力があります。たぶんこれは昔のまんまほとんど何も変えずに現在に至るからこそで、狙って出せる空気感では無いですね。
アンティーク・骨董・古民家などに魅力を感じる方には是非とも一度は行ってみて欲しい温泉です。

「小森温泉」のすぐそば道路沿いに観光客に向けた案内標識があります。
上から「小森温泉の湯元」「小森の郷倉」「小森の宝篋(ほうきょう)」「ラーバニスト小森の里」とあります。


「ラーバニスト小森の里」
小森温泉と同じ湯元を使っています。温泉は好きだが「小森温泉」のひなびた建物がちょっと苦手な方はこちらを利用するといいですよ。
「小森温泉の湯元」
小森温泉の湯元は一度清水が混入して長い間使われなくなっていましたが、戦後に地元の人達が温泉復興運動をして、ボーリング調査した結果、昭和28~29年に再び良質多量の泉源を掘り当てて、再興する事に成功したのだそうです。


せっかくなので歩いてすぐの「小森の宝篋(ほうきょう)」も訪ねてみました。

「小森の郷蔵」
“郷蔵”とは干ばつや飢饉に備えて、その年の収穫の一部を農民に出させて保管していた蔵です。
岡山藩の記録によれば建てられたのは元文3年(1738年)、かつて岡山藩には郷蔵が23あったそうですが、現存するのはこの郷蔵のみだそうです。
この郷蔵は温泉から少し離れた高台の田舎集落の中にある民家の横に建っています。この家は居住中ですので、見学の際はマナーに気をつけてくださいね。
また、忘れてならないのが近辺がのどなか田舎集落を見下ろす素晴らしい眺望だということ。
田舎暮らしに憧れている方は一見の価値ありです。思わず絵に描きたくなってしまうような、そんな風景が広がっていますよ。
「小森温泉 池田政光の隠れ湯」
岡山県加賀郡吉備中央町小森245 【地図】
休日:月3~5回の不定休
入浴時間:平日11:00~19:00(夏季変更有り)
祝・日11:00~18:00
駐車場:有り(20台)
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