足元の春:ホトケノザ

現在一般的に“ホトケノザ”と呼ばれているシソ科の草で、“三階草(サンガイグサ)とも呼ばれています。こちらは食用になりませんのでお間違いなく。
ホトケノザは、北海道以外の日本国内で春になると田んぼの畦や道端で花を咲かせる10cm~30cmくらいの背丈の雑草です。
タンポポや近縁種のヒメオドリコソウなどと同時期に花を咲かせているのをよく見かけます。
この草は“春”のイメージがあるのですが、実は越年草です。
※越年草とは、年を越して生育するするものをいいます
秋頃に芽を出し始めて、春に最盛期を迎えて花を咲かせます。花を咲かせるまではあまり目を聞くことも無いのため“春”のイメージが強いんでしょうね。

まるで恐竜か爬虫類の赤ちゃんが長い首をもたげて口を開けて先の割れたベロを出しながら餌をねだっているようにも見えます。
この花びらを抜き取って吸うと甘い蜜を楽しむことが出来ます。
とてもちいさな花なので、出てくる蜜の量なんてほんのちょっとだけなんですけど、田んぼの畦で遊ぶ田舎の子供にとっては楽しみのひとつですね。
花びらの色は薄紫色がポピュラーですが、白い花を付ける“シロバナホトケノザ”もあります。
普通、花は昆虫たちに蜜を上げる代わりに花粉を運んでもらって受粉して種を作るのですが、必ずしもうまくいくとは限りません。
このホトケノザはそういう場合“閉鎖花”という花を咲かせない花をつけます。写真をよく見てみると赤い点のようなものがあるのがわかると思いますが、これがそうです。
閉鎖花は受粉することもなく、そのまま種を花の中で作るんだそうです。これを“自稔性の花”というんだそうです。
う~ん、それなら最初からそうしてもいいような…。

“葉っぱ”と聞いて象像する一般的な形状ではなく、シソ科の特徴である四角い茎を囲むように葉が付いています。この形が仏の蓮華座のようだということで“仏の座(ホトケノザ)”という名前になったんですね。
別名のサンガイグサの名前の由来は、花が草の先端だけでなくその下や更にその下にもつくことからとも、葉が段々につくことからとも言われています。
葉の茎付近に黒っぽいツブがありますが、これが種です。
この種には蟻が好む“エライオソーム”という粒子が付いていて、蟻はこれを目的に種を運んで行くのですが、運んでる途中でこの“エライオソーム”が取れちゃうんだそうです。すると蟻は種に興味を失ってホッポリ出してしまいます。
ホッポリ出された種はそこで芽を出して繁殖していくんですね。
何とも面白い自然界の仕組みです。
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