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岡山県の著名人:【スポーツ選手】森末慎二

ロサンゼルスオリンピック(1984年)の体操競技で、個人種目別・規定演技・自由演技の3回の鉄棒演技を全部10点を獲得して30点満点のパーフェクトで金メダルを、跳馬では銀メダル、そして体操団体で銅メダルを得て、ひとつのオリンピック大会で金銀銅メダルをゲットした、森末慎二さんは岡山県岡山市の出身です。

現在はスポーツキャスターやタレントとしてTV番組に出演しているので、笑顔が素敵な面白いオジサン的なイメージがあります。
無意味に『自分は金メダリストだ』というオーラを出していないのが好印象でもあり、森末さんの人柄が伝わってきますよね。

少年時代の森末さんは、学校が終わるとランドセルを家に放り投げて山や川や田んぼを駆け回って遊んでいた、ちょっと目立ちがり好きな子供だったそうで、鉄棒遊びは大好きだったけども体操とかオリンピックなどは特に考えてもいない普通の子供だったようです。

鉄棒好きな彼にある時お母さんが「大きくなったらオリンピックにでるの?」と尋ねてきたそうです。
目立ち好きな彼は「出たら目立つの?」と聞き返したら「すごく目立つよ」との返事。
森末さんは、このことがオリンピックへの憧れが芽生えたキッカケだったかもしれないと語られています。

「僕はケガも多かったし、厳しい練習もしてきました。でも、体操を続けられた原動力は、とにかく好きだったこと。体操を辞めてしまったら、次の日から、鉄棒に飛びつけられない、というのが嫌だったから、続けてきました。」とも語られています。

“好きこそものの上手なれ”というコトワザがありますが、まさにそのとおり。
他人に言われてヤルよりも、自分が好きなことだからこそガンバれるというのはよく分かります。
しかし“好きだから”だけじゃなく、森末さんにはもうひとつの武器がありました。

大学四年のとき、前年の右足のアキレス腱に続いて今度は左足のアキレス腱を切ってしまいました。
その時の森末さんは「神様が“おまえは体操をやめろ”と言ってるんじゃないか」という気分だったそうです。
そんな彼に体操部の恩師が掛けた言葉が「よかったな。これで両足一緒になったな」。

あなたならその言葉、どう受け止めるでしょうか?

森末さんは最初「はぁ?(何言っているんだ、この人は)」という感じだったのだそうです。
しかし、この一言で『左右のアキレス腱を切っているわけだから、またリハビリすれば、元に戻れる』と思うことが出来たのだそうです。
恩師独特の励まし方が、この彼のポジティブな考えを導き出してくれました。

“両足一緒になった”というのは、「右足のアキレス腱が切れても回復することができたんだから、左足も同じく直すことが出来るんだよ。だからヘンに落ち込んだりしなくてもいい。」という意味だったんですね。

しかしこのポジティブな言葉も受け取る人によってはマイナスに働くこともあるんじゃないでしょうか。
きっと、森末さんが本来持っているポジティブな性格を知っていたからこその言葉だったのでしょう。
恩師のこの言葉が無ければ体操を止めていただろうと森末さんは語られています。

ロサンゼルスオリンピックの前年(1983年)に行われた世界選手権では、鉄棒の種目別決勝でミスさえしなければ金のチャンスだったのですが、高難度の3回宙返りを試みて着地に失敗。4位という結果に終わってしまいました。

そして翌年のロサンゼルスオリンピックでは、39度の高熱を出してしまいます。普通の人なら日常生活でさえフラフラとしてしまうような状態で向かえた本番で、あのオール10点満点の演技を成し遂げました。
前年の失敗からフィニッシュに入る直前まで悩み、最終的に難易度を落としたフィニッシュで着地に全神経を集中し完璧な着地に成功、満点を得ることができたのだそうです。

ロス五輪の翌年(1985年)に現役引退後は、タレント活動する一方で漫画の原作もされています。
これは彼が現役引退後、日本の体操界の低迷が体操人気に大きく影響、競技人口が減るという悪循環に陥っていたのを見かねた森末さんが、自分の経験を活かして体操をテーマにした漫画原作を執筆して小学館へ持ち込み、「週刊少年サンデー」での連載が決定したものです。

この作品『ガンバ!Fly high』は1994年~2000年までの約6年間連載され、単行本は全34巻、小学館漫画賞少年部門を受賞しています。また『ガンバリスト! 駿』というタイトルでTVアニメにもなり1996年7月~1997年3月にかけて放送もされています。

また、以前から落語が好きだった森末さんは試合前のバスの中で緊張をほぐすために桂枝雀師匠のテープをよく聴いていたそうです。
きっかけは大学を卒業した頃、友人の家で初めて聴いた桂枝雀師匠の「鷺(さぎ)とり」 にハマったことから。
それからはレコード店で師匠の落語のテープを探しては手当たり次第に聴きまくったのだとか。

体操で一番の不安は眠れないことだそうで、いくら実力があっても2・3時間しか睡眠がとれていなかったら絶対につぶれてしまうそうです。
森末さんにとって枝雀師匠の落語が「睡眠薬」 代わりで、音楽では頭から体操が抜けずとも落語を聴くと、その世界に引きこまれてプレッシャーが消えたとのこと。
ロス五輪の時も極度の緊張で高熱が出て食事も喉を通らなかったのですが、落語のテープがホッとさせてくれ、それで金メダルを取ることが出来たのだそうですよ。

そして友人である金原亭世之介に入門、金原亭慎之介の高座名を貰うも『金メダル亭慎二』を名乗り高座に登っています。

体操・スポーツキャスター・漫画原作・落語、他にもジャズボーカリスト・ゴルフと多彩な才能を見せる森末さんですが、本人曰く「好きなだけですね。」「自分の心の声に、素直に動いているだけ。」
そう語られる森末さんは“努力”という言葉は嫌いなのだそうです。

“努力”というのは本当はやりたくないという気持ちを抑えながらやっている時に出てくる言葉で、体操・落語・ゴルフいずれも一定以上のレベルのモノに持っていくには大変な思いはしたけれども、好きでやっているわけだから努力してやるものではないと思うのだそうです。
「そんな発想だから、今までもためらいなくいろいろなものにチャレンジできたのかもしれませんね」と森末さんはおっしゃっています。

好きになったなら前向きにトコトンやる!それが森末流の成功術なのでしょうね。

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著名人 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2012/07/27 23:13
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