足守町並み保存地区

岡山県岡山市北区にある足守には、今も多くの蔵造りの建物が並ぶ『足守町並み保存地区』があります。
1601年(慶長六年)、太閤秀吉の正室北政所(通称ねね)の兄“播磨姫路城主木下家定”が領地を備中に移され、二万五千石を領したことが“足守藩”の始まりです。
明治以降、近代化によって急速に失われていった城下町の風景が現在も色濃く残っているところで、歴史的、文化的資料も多く、県の町並み保存地区に指定されています。
※町並み保存地区は、陣屋町のうちの町人町にあたります。

足守町並み散策マップ。
イラストのグレーに着色された道沿いが町並み保存地区です。
この保存地区からコースを外れたところにも、岡山県指定名勝『近水園』や『旧足守藩侍屋敷』、足守出身の蘭学者:緒方洪庵出生の地などの見どころがありますが、それはまた別の機会にご紹介します。
国道429号線を外れ、葵橋を渡るとそこは足守町並み保存地区。
対向車とのすれ違いが出来るほど道幅があり、自動車での通行も規制されていません。
ですが地元の人々や観光客など通行人は少なくありませんし、せっかくの古い町並みですので、自動車で通行する場合はゆっくりと安全運転で走らせて下さいね。


町並み保存地区に入るとすぐにある観光駐車場。自動車で訪問したならここに駐車するといいでしょう。
この敷地内には和風喫茶『足守まちなみ休憩処』がありますが、ここの店外に観光マップなどが置かれていますので、町並み散策のスタート地点にいいですね。
足守駐在所。町並み保存地区内にあるので、“警官”だけに“景観”に合った外観になっています。

では『足守町並み保存地区』散策に出発です。
この足守町並みの特徴に、蔵造りの建物が建ち並び、“千本格子”や“切子格子”などの端正な格子が取り付けられたものが多く見られるということがあります。
全国的に有名な倉敷市の美観地区も似たような雰囲気を持っているのですが、あちらは商業中心の街なのに対してこちらは町民たちの街。美観地区のような華やかさはありませんが、その分、郷愁が漂う落ち着いた町並みだと思います。




しばらく歩くと『旧足守商家 藤田千年治邸(きゅうあしもりしょうか ふじたせんねんじてい)』があります。
この建物は江戸時代末期に建てられたもので、醤油製造販売をしていました。
明治時代に現在のような本瓦葺・入母屋二階建ての漆喰塗の豪壮な造りとなったそうで、かなり繁盛していたことがうかがい知れますね。現在の総社市にまで大八車に醤油樽を乗せて行商に出向いていたほどだそうです。
※現在の建物は、平成2年に所有者さんの協力の元に岡山市が当時の姿に近い形に改修をしたものです。




散策を続けましょう。
先程の旧足守商家 藤田千年治邸から少し離れたところにあるのが『備中足守まちなみ館』。
元商家で、駐在所や郵便局としても利用されていたのですが、改修による保存が難しいほど痛みが激しいので、改築されて現在の『まちなみ館』となりました。
建物の中では足守の歴史がわかる資料が多く展示されていました。
この足守の町並み保存地区では、『東光寺』と『乗典寺』の二つの寺が並んでいます。
どちらにも境内に鳥居があり、地神が祀られているようです。

町並み保存地区の端近くまで来ると、足守プラザの『洪庵茶屋』があります。
喫茶や食事が出来るのですが…訪れた時間帯が昼食時だったために超満員で店外で待つ人もいる状態。
地産地消をモットーに、新鮮で旬の食材をふんだんに使って足守の味を提供しているお店で、足守特産のメロンを使ったメロンジュースがオススメらしいですよ。
この盛況ぶりでは時間の都合上、メロンジュースの代わりに涙を飲んで移動です。




『足守プラザ』。
足守町並み保存地区の“情報発信と文化交流・そしてやすらぎの場”として“陣屋町”の景観に合う漆喰壁に格子窓の造りで建てられています。
先程の『洪庵茶屋』の他に土産物店、木工芸と陶芸を体験できる工房、多目的ギャラリーと展示室を備えた米蔵ギャラリーなどがあり、中庭では観光客がくつろげるようになっていますが、今回の訪問では木工などの工芸品や花苗・地元産の大豆加工食品などを販売していました。
今回は都合により割愛させていただきましたが、藤田千年治邸から南へ曲がって『宮地橋』までの道も保存地区です。こちらも陣屋町の風情残る佇まいですので、のんびりと江戸時代の町並みを散策してみてくださいね。
足守町並保存地区
岡山県岡山市北区足守872 【地図】
※この住所は「足守まちなみ休憩処」のものです。
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