金木犀(キンモクセイ)

10月頃になるとオレンジ色の小さな花をたくさんつけ、柔らかな甘い香りを辺りに漂わせてくれます。
この樹は“雌雄異株”なのですが、原産地の中国から江戸時代に日本へ持ち込まれたのは雄株だけで、その後も雌株は持ち込まれていないようです。
そのため、日本ではキンモクセイの花は咲いても実をつけることは無く、自然繁殖することもありません。
実を入手できないので、日本国内では挿し木によって増やしています。
「丹桂」というのが中国での正式な金木犀の名称なのですが、“雅な花”という意味の「桂花」と呼ぶのが一般的なようです。
※桂花は木犀属のひとつの種名で、全ての亜種・変種・品種などを総括した呼称です。
中国では、このキンモクセイの花を砂糖漬けにした「桂花糖」を作り、食材や調味料としてお粥に入れたり菓子の香りづけに使ったりしています。
また、花を白ワインに漬けて熟成させた「桂花陳酒」や、お茶に混ぜた「桂花茶」、蜜煮にして「桂花醤」と呼ばれる香味料を作ったりもされています。
金木犀の砂糖漬を作るのはそれほど難しくないようです。レシピが書かれたサイトを紹介しておきますのでチャレンジしてみては?
クックパッド 金木犀の砂糖漬(桂花醤)

しっかりと日光に当たっていれば結構強い樹で、掛かりやすい病気も特にないのですが、風通しの悪い場所ではカイガラムシ・ハダニなどの害虫が発生しやすくなりますので、植える時には陽当たりと風通しをよく考えてあげてください。
常緑樹なので生垣に使われることも少なくありませんが、葉が汚れると花が付きにくくなりますので車通りが多いと常に埃が舞っていたり、排気ガスによって葉が汚れてしまうので避けた方がいいでしょう。
もしもそのような場所に植えるなら、葉が汚れていると感じたら水で汚れを洗い流してください。
庭木や生垣として植えている場合、枝の剪定が必要になると思います。
毎年こまめに行う場合は、新芽が出る前の2~3月か、花を愉しんで終わった後がいいでしょう。
枝が枝分かれしている部分から5から10cmのところで切ります。
気を付けたいのは、枝が伸び過ぎているからとあまりにもバッサリとカットして葉がほとんど無い状態になってしまうと枝枯れを起こしてしまいますので注意してください。
何年か間を置いて(だいたいは3~4年)行う場合、新芽が出る直前の2~3月頃に以前に選定した時から伸びた分だけカットしましょう。
結構な量をカットしますので、その年の花には期待できませんが翌年からはまた普通に花を咲かせてくれます。
また、風邪通しが悪いのを嫌う樹ですので、伸びた枝葉が重なりあって風通りが悪くなっている所があれば間引いてあげてくださいね。
キンモクセイの増やし方ですが、種が無いので挿し木で行います。作業を行うのに適しているのは梅雨の時期。
水はけが良くて肥えた土壌が適していますが、植えたい場所の土が痩せている場合には堆肥などを事前に混ぜ込んでおいてあげてください。
伸びた新芽の枝を約15cmほどに切り取って切り口を斜めにカットします。これを最低でも2~3時間ほど水にさしてしっかりと水を吸収させてください。
一度根づいてしまえば、水やりなどで手をかけることも無く育ってくれるのですが、それまでは土の表面が乾いたら水やりをして下さい。
肥料は2月頃にあげるといいのですが、あまりやり過ぎたら枝葉は良く育ちますが、花の付きが悪くなるようですのでホドホドに。
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