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槭・楓・カエデ

カエデの葉秋の紅葉と言えばカエデですよね。

紅葉(こうよう)と書いてモミジとも読みますが、本来これは“秋になり木々の葉が色付く様”をモミジというのだそうです。

しかし紅葉する木々の代表格ということで、カエデのことをモミジというようになったんだそうです。


カエデは漢字で「槭」、あるいは「槭樹」と書きます。
「楓」と書かれることもありますが、本来は「楓」は “フウ”と読み、カエデとは別のマンサク科のフウのことです。サンカクバフウとかイガカエデやカモカエデと呼ばれることもあります。

しかし、この二種類の樹が良く似ていることと「槭」が常用漢字にふくまれないこともあってか、誰かが「楓」を代用(もしかしたら間違って使用)したのが一般的に広まり、普通にカエデと読まれるようになったようです。
※そのため、お使いのPCによっては「槭」が正しく表示されていないかもしれません。「槭」は木偏に“威”です。

カエデがカエデ科の樹の総称なのに対して、フウはマンサク科の樹。一見似ていますが別種の植物です。
種の形を見れば一目瞭然、カエデの種子は二枚羽の付いた“翼果(よくか)”なのに対してフウの種子はイガグリを小さくしたような形をしていますよ。

最初から葉が色づいている品種のカエデカエデと言えば、上の写真のような葉を持つものが一般的ですが、実は非常に種類が多くて葉の形状も様々です。
なんと江戸時代から300種に及ぶ園芸用に品種改良されたものが作り出されているんだそうです。

日本国内で自然林に自生している天然物は27種とのことですので、日本人が如何にカエデ好きかということが窺われますね。

葉の形状は、五本指状のもの、七本指状のもの、九本指状のもの。指状の部分が太いのもあれば、細めのもの、中には骨のように極端に細いものもあります。
また、夏場は緑で秋に紅葉するモノばかりでなく、最初から赤紫色した葉を持つ品種も庭木によく見かけますね。

日本では、“秋の紅葉を鑑賞して楽しむ”イメージが強いのですが、北アメリカ原産のサトウカエデは堅牢なことから家具などの材料(メープル材)になったり、採取した甘い樹液を煮詰めてメープルシロップを作ったりされています。
このサトウカエデの樹は30m以上にも大きく成長し、葉も日本のモミジよりもかなり大ぶりで、カナダの国旗にも採用されています。

日本では食べることは無いのかというと、そんなことはありません。
一般的にはカエデと“食”といえば、和食の飾りに使用するくらいで食べたりはしないのですが、美しい紅葉で知られる愛知県の香嵐渓(こうらんけい)では、一年間塩漬けにしてアク抜きをしたものを砂糖で甘みをつけた衣で天ぷらにして食べることがあるそうです。また、大阪府の箕面市では食用専用に栽培した特殊なカエデを香嵐渓同様に天ぷらにしたものがお土産品として販売されています。
ちなみに広島県宮古島の“もみじ饅頭”は、モミジ=カエデの葉の形をした饅頭というだけで、原材料にカエデは一切入っていませんよ。

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花・草・樹 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2012/10/26 22:59
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