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岡山県の著名人:【学者】山田方谷

『山田方谷(やまだほうこく)』という人物はご存知でしょうか?
自分はこのブログ『岡山で田舎暮らし』を書くにあたって、岡山県の様々なことを調べていて初めて知った人物です。

山田方谷は幕末の儒家・陽明学者であると共に、財政難で喘いでいた備中松山藩を財政改革・産業振興で救っており、政治家・教育者といった面もあります。

長く続いている不況に苦しんでいる現在の日本。
この人物から学べることもあるんじゃないかと、今回ご紹介することにしました。

山田方谷は文化二年(1805年)、備中松山領阿賀郡西方村(現高梁市)に生まれ、幼少時に親元を離れて新見藩・丸川松隠(まるかわしょういん)に学び、二十歳で士分に取立てられて藩校の筆頭教授に任命されました。

29歳の三回目の京都遊学で(23歳と25歳でも京都遊学をしている)「陽明学(ようめいがく:孟子の性善説の系譜に連なる儒教の一派)」と出逢い修得。
しかし、陽明学は“私欲にかられた心のままに行為に走ってしまいやすい”という欠点をはらんでいるために、弟子達には陽明学を安易に教えることはせず、初心者でも順を追って学べば深く学べる朱子学をまずは深く学ぶように論したそうです。

32歳で備中松山に帰った方谷は教育に専念していたのですが、45歳で財政難で苦しむ備中松山藩の締役兼吟味役(現在の財務大臣)に抜擢され、様々な方策を行い藩政を改革、たった七年間で十万両の藩の借金を返済、そして十万両の蓄財を成し遂げて見事その役割を果たしました。

辰戦争(ぼしんせんそう)では、備中松山藩主・板倉勝静(いたくらかつきよ)は幕府側に就き官軍と戦うが、岡山藩などの周辺の大名に備中松山藩を朝敵とみなして討伐するよう朝廷から命が出ました。
これを受けて方谷は戦うことよりも領民を守ることを選択。
主君である藩主・勝静を隠居させて新たな藩主を立て、松山城を無血開城して城下を戦火から救ったのです。

松山城を占領した岡山藩の内では、「旧幕府軍に加わっている勝静の代わりに方谷を切腹させるべき」との意見も出たものの、方谷を慕う領民の抵抗を危惧したことと、岡山藩の名君・池田光政が陽明学を振興していたこともあってか、その件はうやむやになっています。

それ以降の方谷は“日本最古の庶民学校”である閑谷学校(しずたにがっこう)を再興、陽明学を教えていました。
彼の行った財政改革を高く評価した明治新政府は大蔵大臣として迎えようと何度も方谷に依頼をしたのですが、藩を救い領民を守るためとは言え、主君を隠居させ藩主でもないのに勝手に開城して降伏をした方谷には、もう士官する気持ちなど一切無く、残りの生涯を教育に注いだのだそうです。

山田方谷の名言を一部紹介しましょう。

・「義」に生き、義が発揮されるなら利益は後からついてくる

・政で大切なことは、民を慈しみ、育てることである。それは、大きな力となる。厳しい節約や倹約だけでは、民は萎縮してしまう

・戦争をするのも、金を使うのも同じことだ、少ないときは一点集中、これが戦略としてはよい

・十ヶ条アレバ段々易より始、追々可致事
(やらなくてはならないことが十個あるなら、その内でもっともやり易いことから初めて、だんだんと進めればよい、すべての物事はこのように進めるものである)


現代社会にも通用することばかりだと思いませんか?

出来もしない甘い言葉の数々を掲げたのにも関わらず、そのほとんどが実行できず、大切な予算を関係薄い所にばらまいて本当に必要としているところには碌に回さず、挙句の果てに解散総選挙の憂き目にあえいでいるどこかの国の政党の方々は、方谷に学ばなければならないことが多いんじゃないでしょうか。

山田方谷の大河ドラマ化要望 署名運動実行委がNHKに

幕末に備中松山藩の財政再建に尽力した陽明学者・山田方谷(1805〜77年)のNHK大河ドラマ化を目指し、100万人の署名運動を展開する実行委員会が7日、東京・渋谷のNHK放送センターを訪れ、ドラマ制作を要望した。

 同委員会の橋本徹日本政策投資銀行社長、近藤隆則高梁市長の両共同代表らが、NHKの松本正之会長に要望書を提出した。

 橋本氏は、大赤字の藩財政を産業振興などで立て直した方谷の実績を説明し、「現在の日本経済を考える上で学ぶことが多い。全国に知ってもらうため、大河ドラマで取り上げてほしい」と述べた。松本会長は、知名度の低さを課題に挙げながらも「財政再建というテーマは現代のニーズに合い、意義がある」と話した。

 要望書では、岡山県を中心舞台とした大河ドラマがこれまでにないことなども訴えた。委員会は、2015年放映を目標に、大橋洋治全日空会長、伊藤謙介京セラ相談役ら7人が共同代表となって10月発足。今後、随時NHKに署名を提出してアピールする。

山陽新聞 山田方谷の大河ドラマ化要望 署名運動実行委がNHKに(2012/12/07)

確かに一般的には知名度が低いのは否めませんが、それは天下のNHKさんのことですから、様々な番組で事前に方谷の偉業を取り上げて、現在の社会に照らし合わせるとか、そういった種蒔きをしっかりと行えば、多くの人から関心を得ることは出来る様な気がします。

一方で、方谷の事を知ってもらうのに大河ドラマじゃなくってもいいような気もしますが、その影響力を考えれば大河ドラマが確かに一番効果的なのも確かです。
でも来年はもちろん今からでは間に合いませんし、再来年の大河ドラマも豊臣秀吉の天下統一を演出した天才軍師・黒田官兵衛の生涯を描く『軍師官兵衛』に決定、準備が進められているので実現できても2015年以降になってしまいます。

この平成の不況の時代に彼の存在・偉業を知らしめるには、少しでも早いにこしたことはありませんし、まずは大河ドラマのパイロット版と言う意味も込めて、1クールか2クールくらいでドラマ化してみるのはいかがでしょうかね?

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著名人 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2012/12/08 22:27
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