竹工芸 津山民芸社

「今年は辰年だったから来年は巳年か。あんまり難しくなさそうだから今度の年賀状は自分でヘビの絵を描いてみようかな?」なんて、普段はあまり気にしていなくても毎年思い出すのが干支ですね。
そして津山市で干支と言えば、津山市田町にある『竹工芸 津山民芸社』の竹製の玩具。

津山で竹細工が盛んに行われていた頃の竹職人の一人だった父・安太郎さんの元で修業した白石靖(しらいしきよし)さんが安太郎さんと共同で作りだした“作州牛”は、昭和37年の岡山国体で岡山県を訪れた昭和天皇が現皇太子様へのお土産に購入されたり、1985年の年賀切手のデザインに採用されるなどしています。



この昔ながらの農耕作業に従事していた黒い牛をモチーフにした竹玩具は日本民芸展奨励賞や全国郷土民芸品審査会ほか多数の受賞歴をほこる作品です。
白石さんはこの作州牛の他にも多数の作品を制作しており、そのひとつに十二支の全動物をモチーフにした竹玩具があります。
玩具ですので、子供のおもちゃとしてもいいんですが、その完成度の高さから毎年その年の干支のものを床の間などに飾る置物として人気があり、毎年年末になるとニュースや新聞で来年の干支の竹玩具を作る白石さんが取り上げられるほどなんです。

そういうわけで、年の瀬も押し迫った本日は『津山民芸社』の十二支の竹玩具をご紹介しますね。



子・丑・寅



卯・辰・巳



午・未・申



酉・戌・亥
白石さんは作品に使用する竹をすべて自ら切りに行って、油抜き・裁断からすべての工程を一人で行っているそうですが、翌年の干支の竹玩具の製作は秋口から始めて彼岸の頃から忙しくなるのだとか。
白石さんはたった一人で年末までに約1500個ほどの作品を作り上げるそうです。
そんな白石さんですが、1938年生まれなのでもう結構なお歳です。
話をお伺いしていると、もうぼちぼち引退も考えているとの発言をされたので、後継者はと尋ねたところ、
「こんな儲からない仕事だれもやらないですよ」と笑っておられました。
でも、この素晴らしい作品とそれを作り上げる技術が失われるのは寂しい事です。
この仕事を生業とするのは確かに難しいかもしれませんが、せめてその作品を作り上げる工程や技術を誰かに引き継いで貰って、制作規模は小さくてもいいので次世代に伝えてもらいたいなと思います。
津山民芸社
岡山県津山市田町23-1 【地図】
TEL:0868-22-4691
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