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岡山の著名人:重松清【作家】

「とんび」 Amazon.co.jp2013年1月13日からTBS系の日曜劇場枠で放送されているドラマ『とんび』がなかなか評判のようですね。
制作スタッフはあの『JIN』を大ヒットさせた面々が再集結。局の方も相当力を入れているようで、『JIN』同様に海外輸出も狙っているとのウワサ。

で、この『とんび』というドラマは岡山県津山市(旧久米町)出身の重松清(しげまつきよし)さんの同名小説が原作で、NHKの土曜ドラマスペシャル枠でも昨年2012年1月7日と14日の前後篇に分けて放送されています。
※このNHK版の『とんび』はモンテカルロ・テレビ祭最優秀賞受賞。

重松さんは、早稲田大学教育学部国語国文学科を卒業し、角川書店に編集者として勤務。
その後フリーライターとして独立して、田村章(たむらあきら)名義で映画やドラマのノベライズを手掛けたり、雑誌記者やゴーストライターなどの仕事など何でも手掛けています。
この時代の重松さんは田村章の他に岡田幸四郎など20以上ものペンネームを使い分けていて、中には女性名のものもあったのだとか。

ドラマ『101回目のプロポーズ』や映画『キッズ・リターン』などのノベライズ作品の仕事の一方で、完全オリジナルな小説も並行して執筆。
受験・友達関係・青春の衝動の中で揺れ動く不器用な高校生を描いた『ビフォア・ラン』(1991年)が処女作で、同時期に執筆していたノベライズと一線を引くためか、こちらは本名の重松清で発表しています。

小説以外の仕事と並行しながらも精力的に小説を発表し続け、1999年に『ナイフ』で坪田譲治文学賞を、『エイジ』で山本周五郎賞を受賞すると同時に、小説を原作としたTVドラマが次々に製作され一躍名前が知られるようになりました。

その後も『ビタミンF』で2000年下期直木賞、『十字架』で2010年に吉川英治文学賞を受賞。
そして当初から映像化を想定して書かれたという『いとしのヒナゴン』が、目論見どおりに(?)『ヒナゴン』(2005年)というタイトルで重松作品初の映画化、現在まで7作品が映画化されています。

重松さんの作品には、“家族”を真っ正面から扱ったものが多くみられ、時に重たい話にもなりがちです。
しかし、重松作品には実世界で誰もが体験したり見聞きしたことがうまく盛り込まれていて共感しやすく、気がつけばストーリーに引き込まれ笑ったり涙を流したり。重い話であっても後味は悪くないものが多いように思われます。
(感じ方や感想には個人差がありますし、すべての作品を読んだわけでもありませんので、あくまでもこれは現時点での個人的な感想です。)

そういった作風の重松作品ですが、『愛妻日記』(2003年)のような18禁小説、その逆に『さすらい猫 ノアの伝説シリーズ』(2011年~)といった児童小説も手掛けるなど、多彩な才能を見せてくれています。

重松さんは1963年生まれで、名を馳せた時期から平成の作家と言われているように、これからも数多くの傑作を生み出してくれることと期待しています。
映画好き者としては、過去の映画化作品を振り返ってみると“良作はあるものの興行的にはイマイチ?”的な印象があるのが少し残念に感じています。

一度、一般大衆受けのいい“笑いと感動あり、観終わった後にもう一度観たくなるようなエンターテイメント作品”にも挑戦してみて欲しいとも思うんですが、そんな作品を執筆されたとしても映画会社が喰いついてくれるかどうかはわかりませんし、映画化されても当たるかどうかは監督さんの腕次第なので…。

やっぱりそんな“ウケ狙いのヒット映画”を前提にしたイヤラシイ作品じゃなく、書きたいものを書きたいように執筆してもらって、結果映像化されて当たるほうがいいですよね(苦笑)。

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作品紹介 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2013/02/11 23:25
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