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備中鍬(びっちゅうぐわ)

財政難で苦しんでいた備中松山藩を救ったことで知られる『山田方谷(やまだほうこく)』は、数々の政策を行って備中松山藩を窮地から救っただけでなく、逆に豊かな国にすることに成功しているのは有名ですよね。
その政策のひとつが特産品を生産して、生産者の利益を重視して藩側は流通の仕方の工夫で利益を上げること。
タバコや茶・和紙・柚餅子などの特産品に加えて、備中地方の土地柄を活かし鉱山開墾・製鉄工場建設を行って、大量の農機具を生産しました。

そして最寄りの大都市である大阪へ…ではなく、高梁川を使って瀬戸内海へ出て、海路で直接江戸に商品を運びこむことで、中間マージン無しでの販売を可能にしたのです。

江戸に持ち込んだ特産品は現地直送ということでよく売れたのですが、特筆すべきは備中鍬。
それまでも備中鍬のように複数の刃がある鍬はあるにはあったのですがそれほど普及はしておらず、当時は木製の平鍬が主流でした。
そこに金属製の農地を耕すのに非常に有効なこの鍬が登場し、大ヒット商品となり飛ぶように売れ、一気に普及したのだそうです。

この備中鍬を考案したのは方谷自信だと言われています。
それは武家でありながらも、生活のために農業を手掛けていた生家での経験が少なからず役立っているのでしょうね。

平鍬は土をすくう・盛る・均すなどの作業に適していますが、土を掘り起こすには備中鍬が有効です。

既によく耕された土ならば平鍬でも問題ありませんが、長らく休耕中だった農地や新規開拓する場合の土は固くて、平鍬では文字通り歯が立ちません。

それに対して備中鍬はフォークのように歯先が複数本に別れているので抵抗が少なく、固い土でも楽々と突き刺すことが可能です。

機械化が進んでいる現代の農業でもこの備中鍬は有効で、トラクターや耕運機を入れるには狭い土地でとても役立ってくれます。

狭い土地用の管理機(小型の耕運機)もありますが、小さいので深くまで耕すことができません。
まずは備中鍬を使って手作業でザックザックと土を起こしておいて、仕上げに管理機を掛けると作業がとても楽ですね。

少しの土地だけで菜園を愉しみたいとお考えの場合は、管理機を購入するのもちょっともったいないような気がします。そういう場合は、うまく備中鍬と平鍬を使い分けて作業してくださいね。

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農業 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2013/02/18 23:40
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