ミツマタ

この木は沈丁花(じんちょうげ)科の植物で、地域の気候にもよりますが三月初頭から四月半ばにかけて開花します。
この木が咲かせる花はちょっと変わっていて、イモムシのような花がまるで蜂の巣のような半球状に集合しています。花びらの色は黄色ですが外側は白。
この花は下向きに咲きますので、下から見上げると黄色の花の集まりに見えますが横や上から見たら白く見えます。
園芸種に赤い花びらのベニバナ(アカバナ)ミツマタもあります。
ミツマタは漢字で“三椏”、または“三枝”“三又”とも書きます。
この名前の由来は枝が必ず三又に枝分かれすることからきています。言われるまで気にしてませんでしたが、よく見ると確かに枝が三つに分岐していますね。
この木の樹皮は和紙の原料に使われていて、ミツマタで作られた和紙は光沢があってしなやかで上部という特徴があります。
紙幣の原材料にもミツマタが使われていて、岡山県北・美作地方はミツマタの一大生産地で、和紙の生産も盛んだったようですが、現在でも「津山箔合紙(つやまはくあいし)」「横野和紙(よこのわし)」は人気の高い和紙として知られています。

植え付けする時期は、ミツマタが花を咲かせる頃=春が最適ですが、葉をつけない落葉期なら大丈夫ですけど寒さの厳しい時期は避けましょう。
根があまり分岐せず、表皮が軟らかくて傷付きやすいのですが、根が傷ついたとき傷口がふさがりにくい特性があるので移植は簡単ではありません。
そのため地植えすることになると思いますが、水捌けの良い、湿り気のある砂質の土壌が適していて、水気を貯め込みやすい粘土質の土壌は適していません。
選定などの手入れですが、花が終わった直後の花芽を造る前が最適です。
というのも、花が散った夏から秋にかけて今年伸びた枝の先端に花芽を作るため、どのように切ってもせっかく出来た花芽を切り落とすことになってしまうからです。
そもそもミツマタは自然まかせにしていてもある程度樹形がまとまるので基本的に剪定をする必要はそれほどありません。伸びすぎた枝があったらそこだけ切って全体のバランスを整える程度でいいでしょう。
※必ず枝分かれしている付け根で切り取るようにしましょう。この木の枝は中途半端な位置で切ってもそこから芽が出てくることはありません。
ちなみに小惑星に“ミツマタ”という名称のものがあります。
この小惑星を最初に発見した鳥取県鳥取市の佐治天文台(さじてんもんだい)のある佐治町名産品の因州和紙の原料ミツマタから付けられたそうです。
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