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岡山の著名人:水戸岡鋭治【デザイナー】

岡山市内を走る岡電の路面電車 MOMO水戸岡鋭治(みとおかえいじ)さんは、岡山県岡山市出身のデザイナー兼イラストレーターであり、「(株)ドーンデザイン研究所」の代表取締役です。
デザイナーといっても多々ありますが、水戸岡さんが主に手掛けているのはインダストリアル(工業)デザインで、JR九州のデザイン顧問や岡山県の両備グループデザイン顧問や“おかやま夢づくり”顧問などを担当されています。

代表作にJR九州の787系電車『つばめ』、883系電車『ソニック』などがあり、鉄道に興味がある方なら“水戸岡鋭治”の名前を知らない人はいないでしょう。

彼のデザインは、世界最高の鉄道デザインにおくられる「ブルネル賞」を過去4 回受賞、鉄道友の会会員の投票により選定される「ブルーリボン賞」といった鉄道関連の賞に留まらず、日本で唯一の総合的デザイン評価・推奨である日本デザイン振興会の「グッドデザイン賞」、松下電工の「ライティングコンテスト最優秀賞」なども受賞されています。

列車やバスなどのデザインに留まらず、『熊本駅』『さいたまスーパーアリーナ』『kankoスタジアム(旧称:桃太郎スタジアム)』『大阪ステーションシティの広場』『岡山駅東西自由通路』など、建築関係のものも多くデザインされていて、その才能を幅広く活かされています。

実家が家具屋だった水戸岡さんは、家業を継ぐため岡山県立工業高校の工業デザイン科インテリア学科でインテリアデザインの基礎を三年間学ばれたのですが、その時に出会ったデザイン科の先生「デザインは合理性ではなく情緒である」という言葉に大きく影響されています。
当時の日本では当たり前だった“いかに合理的に・シンプルに、モダンな物を作るか」という考え方とは真逆の「合理性より心が大事,経済性より文化が大事」というデザインに対する考え方は、水戸岡さんのデザインした作品に顕著に観かけることが出来ます。

座席数を大幅に抑えてゆったりとくつろげる客席、資材には木やガラスや本革、メンテナンスに手間のかかる自然素材を多用したりと従来の工業デザインと反する車両デザインについて水戸岡さんは、「なによりもまず旅をどう過ごすかという問いかけをして、居住空間としての客席をデザインしていくことに傾注した」と語られています。
そのデザインに対する考え方の出発点は高校生時代に培われたものだったんですね。

しかし、実家の家具屋を継ぐつもりでデザインを学んだ水戸岡さんですが、なぜ家具では無くて電車などの工業デザインを手掛けることになったのでしょうか?

高校卒業後は大阪のデザイン事務所に三年間勤務したあと、実家に戻って家業の手伝いをしていたとき、以前勤務していた大阪のデザイン事務所からイタリアのミラノにあるデザイン事務所を紹介され働くも、事務所通い生活がイヤになり、バカンスをとろうと事務所を退職。

ヨーロッパやアメリカを旅をして帰国し、東京に事務所を設立してイラストの仕事をされていたとき、JR九州から「ホテル海の中道」のアートディレクションの依頼が。
ホテルの仕事経験をしたことが無かったものの、多くの人からサポートをしてもらったこともあってこの仕事が大成功します。

そしてこの「ホテル海の中道」の横を走らせる「アクアエクスプレス」の仕事も引き受けることになり、ホテル同様に未経験な“鉄道車両のデザイン”でしたが、JR九州のスタッフから図面や材料などについて丁寧に教えてもらうことで、この仕事も見事成功を収め、このことをキッカケにしてJR九州の仕事が増え、やがてJR九州のデザイン顧問に就任することになり、車両以外にも駅舎・高速船・バスなどのデザインも手掛けられられるようになったのでした。

水戸岡さんはデザインのコンサルタントだけではなく、デザイナー・プロデューサー・現場監督まで幅広く関わられていますが、それが水戸岡さんの理想とするデザイナーの有るべき姿であるからで、自分で何でもできるよう訓練をされているのだそうです。

ヨーロッパの有名なレオナルド・ダ・ビンチは万能で多彩な才能を持っていましたが、ダ・ビンチこそ水戸岡さんの目指す理想のデザイナー像で、自分もそういう人物になりたいと考えられています。

最後に水戸岡さんの言葉を。
「経済のソロバンではなく、心のソロバンをはじくことが大切。直接的な利益追求だけでなく、夢を持って知恵を出すことがいま企業にも求められているんです。」

無駄の一切ないデザインは企業的には一見素晴らしいように見えるものですが、そこに別になくてもいい何かをプラスしてやることで人の心を引き付けるものが出来上がるんですね。それが水戸岡デザインが人を引き付け集客に結びついている一番の理由なのでしょう。

参考:メカライフな人々No.24(株)ドーンデザイン研究所 代表水戸岡 鋭治氏(PDF) 日本機械学会誌
    デザイナー・水戸岡鋭治氏インタビュー「ファンを生み出す列車のつくり方」 PRESIDENT Online

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著名人 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2013/05/13 23:57
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