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寄島干拓地のアッケシソウ

浅口市の寄島町には本州で唯一のアッケシソウの群生地があります。

アッケシソウ(厚岸草)とは、波が直接あたることの少ない海岸の入り江・塩田・干拓地などといった塩湿地に生育する1年草で、北半球に広く分布しています。日本では1981年(明治24年)に北海道の厚岸町の牡蠣島で発見されたのが最初で、町の名前からアッケシソウと名付けられました。
秋には赤く紅葉し、その見た目がサンゴを連想させることから“サンゴ草”という別名もあります。

日本各地の塩田跡地などでこの植物を見ることが出来たのですが、塩田跡地が住宅地や工業団地への再開発、地盤沈下や湖岸が侵食されていくことに伴い、その群生地はどんどんと失われていて、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧種Ⅱ類(絶滅の危険性が増大している種)に指定されています。

北海道の能取湖南岸の塩湿地では国内最大級のアッケシソウ群落の維持管理をしていたのですが、2010年に外部から土砂を取り入れたことが悪影響をおよぼしてしまい、現在は壊滅的な状態。
2003年に本州唯一のアッケシソウの群生地として認定された寄島町の干拓地では2004年に地元住民らが「守る会」を発足。自生地の保護管理や生態調査を行われています。



アッケシソウ

寄島町では毎年、アッケシソウが紅葉するシーズンに合わせて『アッケシソウ祭り』を開催しています。
今年2013年は10月10日(木)~10月28日(月)に行われ、ボランティアガイドによる案内やアッケシソウの絵ハガキの販売などがされる予定です。
他ではなかなか見ることのできないアッケシソウの紅葉、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

岡山県浅口市寄島町寄島干拓地内 【地図】

ところがこの寄島町のアッケシソウ群生地も今年になってピンチを向かているんだそうです。

寄島のアッケシソウ大量枯死 ガの食害原因

 絶滅危惧種の海浜植物アッケシソウが浅口市寄島町の自生地、寄島干拓地で今夏、ガの食害によって大量に枯死していたことが分かった。岡山理科大の星野卓二教授(植物系統進化学)らによると、このガは国内では初確認という。

 被害を受けたのは観賞エリアになっている最も大きな群生地(20アール)。地元のアッケシソウを守る会(作田雅利会長)によると、7月に会員が一部の変色を発見。先端から黒褐色の幼虫が出てきた。8月には幼虫が大量発生し、被害が拡大。薬剤を散布したが、枯死を食い止めることはできなかったという。

 星野教授は、幼虫を採取して調査。鹿児島大農学部の坂巻祥孝准教授(害虫学)が国内で初めて見つかったガと確認した。

 坂巻准教授によると、ジャガイモを食べる害虫・ジャガイモキバガの仲間で体長6、7ミリ。欧州や韓国で発見例がある。1年に3回羽化し、アッケシソウの新芽や茎内部に入り食い荒らすという。坂巻教授は近く関係学会で報告する予定。

 守る会は枯死したアッケシソウを除去。恒例の「アッケシソウ祭り」は10〜28日、予定通り開き、被害を免れた干拓地内の別の群生地(3アール)を公開、フォトコンテストや写生大会などを行う。

山陽新聞 寄島のアッケシソウ大量枯死 ガの食害原因(2013/10/08)

なんとも残念なニュースです。
そのため今年の「アッケシソウ祭り」では、被害の大きい展望台が設けられているA地区ではなく、いつもは立ち入りが規制されている他の地区を見学することが出来るそうですよ。

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観光-自然 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2013/10/09 23:42
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