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岡山の著名人:森陶岳【陶芸家】

森 陶岳(もり とうがく)さんは、備前焼窯元六姓の流れをくむ岡山県備前市出身の陶芸家で、岡山県指定重要無形文化財保持者です。
(本名は森才蔵)
1937年(昭和12年)生まれで、今年で77歳を迎える森さんは、桃山時代から代々続く備前の窯元を継承し、20余年来大窯による作陶・研究を続けておられます。

大学を卒業後、中学の美術教師を三年間勤めた後に退職、陶芸の道に入った森さんですが、「小さな窯では“古備前の魅力”の謎解きは出来ない」と、古備前が焼成された中世の大窯焼成計画をたてます。

まずは1980年に兵庫県の相生市の山中で全長46mの半地下直炎式登り窯を作り、ここで備前陶器多数を焼成。
その後間もない1985年に岡山県瀬戸内市牛窓(当時:邑久郡牛窓町)に移り、全長53mの「寒風大窯(さぶかぜおおがま)」を築いて1986年~2011年の間に6回、作品を焼いています。

そして2005年から弟子たちと古備前が生産された大窯時代の共同作業の仕組みを取り入れて、2008年夏に寒風新大窯を完成、新窯の性能を確かめる空焚き(からだき)も成功。
この全長85mもある備前焼史上最大の新大窯への作品の窯詰めも八割方が完了し、来年1月に予定している火入れへ、いよいよ大詰めを迎えているそうです。

2002年に日本陶磁協会賞の金賞受賞。
2005年に文化庁長官表彰。
2006年には紫綬褒章・福武文化賞・岡山県三木記念賞を受賞。

これまでも素晴らしい功績を残されてきた森さんの作品は日本国内外の美術館などに収蔵されているのですが、来る来年の初窯焼成によって新たなる名品が誕生するのは間違いなさそうですね。

空前の窯焚きへ作業大詰め 備前焼作家・森陶岳さん

 夢の大窯プロジェクト完結へあと1年―。全長85メートルもある備前焼史上最大の窯を築き、空前絶後の窯焚(た)きへと向かう岡山県重要無形文化財保持者の森陶岳さん(76)=瀬戸内市。大人が余裕で入れる大甕(おおがめ)など作品の窯詰めも8割方完了。2015年1月予定の火入れへ、いよいよ大詰めを迎えた。

 「やっと山は越えた」。昨年末、6人の弟子とともに9回目の窯詰め作業を終えた森さんは、静かな窯の中でほっと息を吐いた。

 工房のある丘陵の中腹から頂上へと伸びた長大な窯は、まるでトンネル。内部は幅6メートル、高さ3メートルと車が楽に往来できる広さ。その奥側から順に、これも空前の大作「五石甕」(高さ1・65メートル、胴径1・4メートル)が詰めてある。約70点がぎっしり並び、甕の中と周りにも茶陶など千点以上。壮観な眺めだ。

 30代前半で日本陶磁協会賞に輝くなど、若くして備前焼の中心作家になった森さん。それでも、自らの作品が「中近世の古備前の力強さにかなわない」と苦しんだ。研究の末たどり着いたのが、備前市の伊部南大窯跡(全長53メートル、国史跡)に代表される古備前を生んだ大窯の再現だった。

 1970年代初頭から大窯プロジェクトに着手。兵庫県相生市に全長46メートル、瀬戸内市牛窓町に同53メートルの大窯を築造。計13回の焼成を繰り返した。

 「相生、牛窓の大窯焼成で自分の限界は超えられた。それでも過去の最高到達点には及ばない」。新大窯は、その差を埋める最後の挑戦として、2000年から8年かけて築造。続いて作品制作、窯詰めを繰り返した。

 予定では、14年中にあと2回窯詰めし、15年1月上旬に火入れ。3千トン以上のまきを使って約3カ月間焚く。冷却した後、窯出しは6月になる。

 「この焼成が成功すれば、過去の陶工に肩を並べられるはず」と森さん。「それで私の40年以上の“実験”は終了。あとは未来に向けての本当の創造を始めるだけ」と力を込めた。

山陽新聞 空前の窯焚きへ作業大詰め 備前焼作家・森陶岳さん(2014/01/13)

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著名人 | コメント:(0) | トラックバック:(0) | 2014/01/13 23:51
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